リウマチ科
リウマチ科
リウマチ科は関節リウマチをはじめとする膠原病を扱う診療科です。膠原病の多くは原因不明の免疫システム異常から起こるもので、全身の各部位に炎症をきたし、様々な症状が現れてきます。
免疫とは、体内に侵入してきた病気の原因となる外敵(細菌やウイルスなど)を素早く見つけて処理し、時には激しい戦闘を仕掛けて人体を守ろうとする安全機構で、いわば警察や自衛隊のような働きをしています。この免疫が何らかの原因で不調をきたして、本来なら味方であるはずの自分の臓器を誤って攻撃してしまうことで生じる病気を膠原病と呼んでいます。
なかでも関節リウマチは膠原病の中で最も患者数が多く、人口1000人あたり6人程度とされています。女性患者の比率が高く、女性に限定すると100人に1人が発症するので決して少なくない病気です。
関節の変形と破壊を引き起こして徐々に進行していく病気ですが、早期の診断と抗リウマチ薬や生物学的製剤、JAK阻害薬を中心とした適切な治療によって、身体障害を予防し通常の日常生活を送ることができる時代になっています。
治療が進歩したおかげで入院や手術など大きな負担のかかる医療を必要とすることは少なくなり、大病院だけでなく地域のクリニックでも治療ができるようになりました。
以下のような症状は関節リウマチやその他膠原病の症状である可能性があります。
整形外科でも診療しているリウマチ性疾患の代表的なものを下記に挙げます。
患者様は女性が男性の4倍近く多いです。30~50歳の年齢層に発症しますが、最近はより高齢の方に発症するケースが増えてきて70歳代ではじめてリウマチを発症する方もいます。進行すると関節が破壊され、日常生活に支障をきたすこともあります。主な症状は、関節の痛み、腫れ、起床時の手のこわばりなどです。
近年、関節リウマチの治療は大きく進歩しており、骨および軟骨の破壊を積極的に抑える薬としてメトトレキサートが安価で効果的です。より重症の方には生物学的製剤、JAK阻害を用いることで寛解状態を目指せるようになっています。関節リウマチは早期の診断・治療がとても重要です。
治療がうまく進み、安定期に入れば2か月に1回程度の通院で対応できます。
頸部(くび)、肩、腰部、大腿などに痛みやこわばりを生じる原因不明の炎症性疾患です。比較的高齢の方に発症し、発熱を伴ったり痛みのため不眠になったり抑うつ症状が出ることもあり、急に元気がなくなります。
主に肩周辺や股関節、臀部などに痛みが生じることが関節リウマチと異なる点です。なかなか診断がつかず医療機関を転々とされる間にどんどん体力が弱りますので、とにかく早期診断・治療が大切です。副腎皮質ステロイドの内服薬が非常に有効で、治療開始からすぐに痛みが和らぎ元気になります。
乾癬という皮膚疾患に合併する病気で、関節や腱付着部、指に炎症をきたす病気です。原因は不明で30~50歳代に多く、男女比はほぼ同じです。日本人では乾癬の患者様の10~15%に発症するといわれています。
乾癬性関節炎では乾癬の皮膚病変を多く認めます。乾癬は、髪の生え際や肘、膝、でん部などに多く出現し、発疹と、銀白色のフケのような鱗屑(りんせつ)を認めます。関節リウマチとほぼ同じ内容の治療でよくなります。
脊椎関節をはじめとする胸鎖関節、仙腸関節などの体幹部の関節と、手指関節などの末梢関節に炎症が生じる病気です。炎症性腰背部痛(安静で軽快せず、むしろ運動で改善する腰痛・背部痛)が脊椎関節症に特徴的な症状の一つです。
また手指・肩などの痛みや腫れ、こわばりといった症状も伴います。発熱や倦怠感を伴うこともあります。進行すると関節の動きが悪くなり、「背中が曲がらない」「首が回りにくい」といった症状が現れます。
上記のような症状がある方は、リウマチ性疾患の可能性がありますので気軽にご相談いただければ対応いたします。